小説

町田そのこ著『52ヘルツのクジラたち』あらすじ&読書感想―孤独に鳴くクジラが魂のつがいを見つける物語。

52ヘルツのクジラたち

本屋大賞ノミネート作品(記事公開後、2021年本屋大賞を受賞しました!)である町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』を読みました。

第4回未来屋小説大賞、『王様のブランチ』BOOK大賞2020、読書メーター オブ ザ イヤー 2020 総合ランキング1位にも選ばれ、重版を重ねている注目作です。

生きることの辛さの中にも希望があることを描き、多くの人の心を捉えている本書。

そんな『52ヘルツのクジラたち』について、あらすじを含めた作品情報と読書感想をご紹介します。

『52ヘルツのクジラ』作品紹介

あらすじ

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。

引用:52ヘルツのクジラたち|単行本|中央公論新社

52ヘルツのクジラとは?

太平洋の北東で確認された52ヘルツで鳴くクジラのこと。

通常クジラは10-39ヘルツで鳴き、仲間と意思疎通を図る。

52ヘルツのクジラは、この周波数で鳴く世界で唯一の個体であり周波数が違うため他のクジラと意思疎通が全くできないものと考えられる。

このクジラの動きに、他の個体との関係性が全く見られないことから世界でもっとも孤独なクジラと呼ばれている。

太平洋の北東で記録された52ヘルツのクジラの鳴き声。

10倍に短縮され、周波数は10倍の520ヘルツに変換されている。


※NOAA, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

※参考:52ヘルツの鯨 - Wikipedia

『52ヘルツのクジラ』感想

登場人物たちは、虐待児童、家庭内DV、トランスジェンダーなど、さまざまな社会問題の当事者たち。

あまり悲しい内容の小説は読みたくないなぁと思っているのですが、この物語の構成がよく出来ているからなのか物語としてのパワーがあるからなのか、あっという間に読んでしまいました。

ヒリヒリするほど痛ましくも、結末は一筋の光が見える物語。

登場人物たちの幸せを祈りたくなるそんな結末です。

読んでいて、頭の中でBGMとして流れていたのはBTSの「Whalien 52」という曲。

この優しいメロディーと、繊細かつ力強い歌詞がこの小説の内容に重なりました。

あまり前情報を入れずに、読んだ時の感情をそのまま受け入れた方がいいストーリーだと思うので、詳しく内容を書くのは控えました。

生きていく上での痛みを知る人たちには、共感できる物語だと思います。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。


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