物語を紡ぐ意味を見失ってしまった主人公・一也と、物語の力を信じながらもある悲しい秘密を抱える同い年の作家・詩凪(しいな)の小説創作をめぐる青春小説です。
著者の相沢砂呼さんはミステリー関連の賞3冠を達成し、本屋大賞6位にも選ばれた『medium霊媒探偵城塚翡翠』の作者でもあります。
- 作者:相沢 沙呼
- 発売日: 2016/06/21
- メディア: 文庫
『小説の神様』作品紹介
あらすじ
中学生で作家デビューし物語を綴ってきた高校生・千谷一也(ちたにいちや)。華々しくデビューするもその後の売り上げや評判は振るわず、自分の作品に自信が持てない一也は作品を生み出すことに意義を見出せなくなっていた。
そんな時、周囲の視線をあっという間に集めてしまうほどの圧倒的な美女、小余綾詩凪(こゆるぎしいな)が一也の高校へ転入してくる。実は彼女はペンネーム不動詩凪の名で活動している名の知れた人気作家だった。
一方、担当編集者から一也は小説を競作してみないかという提案を持ちかけられる。ほかの人物に物語の構成をまかせ、その構成をもとに文章を書いてみないかと。
身体の弱い妹のためお金を稼げるならと提案に応じ、競作相手と会ってみると、なんとその人物は小余綾詩凪だった。
内容は薄ぺらでもいいから売れることを重視した作品にするべきだと考える一也と、自分は「小説の神様が見える」と物語の力を信じる詩凪。
反発しながらも、足りないものを補いあい競作をすすめていくうち、一也は詩凪の誰にも言えない秘密を知ってしまうのだった——。
『小説の神様』関連作
- 作者:相沢沙呼
- 発売日: 2020/03/17
- メディア: Kindle版
映画「小説の神様 君としか描けない物語」情報
本書を原作として佐藤大樹と橋本環奈主演で映画化。
2020年5月22日(金)より公開の予定だったが、新型コロナウィルスの影響で延期。その後2020年10月2日公開されました。
<キャスト>
千谷一也役:佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)
小余綾詩凪、不動詩凪役:橋本環奈
九ノ里正樹役(一也の友人・文芸部部長):佐藤流司
成瀬秋乃役(文芸部の後輩):柴田杏花
千谷雛子役(一也の妹・不動詩凪の大ファン):莉子
<監督>
久保茂昭監督:『HiGH&LOW』シリーズや500本以上のミュージックビデオを手掛ける
『小説の神様』感想(ネタバレあり)
※ここからネタバレを含めた感想を書いています。
内容を知りたくない人はUターンしてください。
詩凪はネットで他の作家の内容をパクっているとの事実でない中傷をネット上で受けたことから、文章を書こうとするとパニック障害を起こしてしまうようになり、手書きでもパソコンでも文章を書けなくなってしまったのです。
そんなわけで詩凪がプロットを書き、一也がそれを文章にするのですが、この作品ではそうしてできた小説がどんな物語なのか、その後読者に受け入れられたのかは具体的には明かされていません。
そのあたりが知りたかったな…。
小説家というのは創作の生みの苦しみがあり、その物語を世に出してからも世間の辛辣な評価にさらされ、印税なんかもそう多くはもらえず、厳しい世界だというのは想像に難くありません。
そうはいっても、一也はグチグチ言い過ぎでは?と思ってしまいます。
最終章までグチが続くので、小説を読むことが好きな私としてはちょっとくどいなと感じてしまいました。
もしかしたら、映画の方が展開が早く動いて面白いのかもしれません。
役者さん目当てでもいいので映画を観て、このストーリーから小説を読んでみようと思う人や物語を綴ってみたいと思う若い人たちが増えるといいですね。
それから、内容には関係ないんですが、映画の公式ホームページのデザインがいい!笑
最近の公式ホームページってデザインが凝っててキレイですよね。
観たくなってしまう...。
小説の創作をめぐるさわやかな学園青春物語です。
映画からでも小説からでも、お好きな方からふれてみてはいかがですか。
相沢沙呼さん著、『medium霊媒探偵城塚翡翠』のネタバレなしの感想も書いています。