本屋大賞ノミネート作の『お探し物は図書室まで』を読みました。
コミュニティセンター内の小さな図書室にいる司書の小町さんが、人生に行き詰まっている人たちの背中をポンと押す様子を描いたハートウォーミングな小説です。
5章からなる短編集ですが、各章に毎回登場するのは呉宮堂のハニードームという洋菓子です。
読んでいてとても美味しそうだったので、実在するものなのか調べてみました。
あらすじや感想と共に、呉宮堂のハニードームは本当にあるのかをご紹介します。
呉宮堂のハニードームというお菓子は本当にあるの?
司書の小町さんは、レファレンスの相談をしてきた人に対して、必ず1冊は一風変わった本を薦め、本の付録と称して羊毛フェルトで作った小物をくれます。
その羊毛フェルトの小物づくりの道具を、呉宮堂のハニードームというお菓子の箱に入れています。
ハニードームは、小町さんの大好きなお菓子です。
本書の中で、呉宮堂のハニードームについてこんな風に書かれています。
小町さんはすぐそばにあった濃いオレンジ色の小箱を引き寄せた。六角形の飾り枠と白い花が描かれたパッケージは、ハニードームというお菓子の箱だ。洋菓子メーカー呉宮堂のロングセラーで、私も大好きなソフトクッキー。そんなに高級品じゃないけどコンビニでひょいと買えるものでもなく、ほんのちょっとの贅沢という感じがまたいい。(p.23)
私はオレンジ色の箱を指さした。
「美味しいですよね、ハニードーム」
すると小町さんは、突然頬を赤く染め、歓喜の表情を見せた。
「これ大好きなの。いいよねえ。みんなが幸せになれるお菓子って」
私は大きく大きく、うなづいた。(p.56)
すぐ脇に、ダークオレンジの箱がある。老舗の洋菓子メーカー、呉宮堂のハニードームのパッケージだ。半球型のソフトクッキーで、中にじゅわっとハチミツがしみていて美味しい。(p.135)
あまりに小町さんがこのお菓子が好きで、それもとても美味しそうに表現されているので、私も食べてみたくなって呉宮堂のハニードームが本当にあるのか調べてみました。
結論としては、「どこにもない」です。
調べてみましたが、呉宮堂という老舗洋菓子メーカーも、ハニードームというお菓子も実在しませんでした。
北海道の六花亭というお菓子メーカーを参考にしているのかな、とも思いましたがオレンジ色の箱に入っているハニードームらしきお菓子はありませんでした。
六花亭では色とりどりのお花が描かれている包装紙が有名ですが、こちらは白地ですしアカシアのお花ではないようなので、本書の中で登場する呉宮堂のハニードームのモチーフとは言えませんね。
※参考記事:六花亭の包装紙に使用されている花は? | 六花亭ファン.com
六花亭のマルセイバターサンドも美味しいですけどね(^ ^)
それから、著者の青山美智子さんが「ハニードーム」に近いお菓子を読者さんからもらったとTwitterでつぶやかれていました。
わわわ!読者さんから『お探し物は図書室まで』に出てくる「ハニードーム」に近いということで贈っていただいた!箱がオレンジっぽい六角形なのもすごい✨佐賀の北島「花ぼうろ」というマドレーヌのようなお菓子です。蜂蜜、杏ジャム、ラム酒などが挟まれています💕 pic.twitter.com/cUv385lkS6
— 青山美智子 (@michicoming) December 22, 2020
佐賀の北島「花ぼうろ」というマドレーヌのようなお菓子だそうです。
※公式サイトはコチラ→花ぼうろ/ごまぼうろ/ぼうろいろいろ | 丸芳露本舗 北島
箱がオレンジで六角形で、確かに少し似ていますね(^-^)
結論としては、呉宮堂のハニードームは実在せず、小説中だけの完全オリジナルお菓子のようです。
存在しないお菓子となると、ますます食べてみたくなりますね(笑)
『お探し物は図書室まで』のあらすじは?
街のコミュニティセンター内の小さな図書室で、仕事や人生に悩む5人が導かれるように出会ったのは無愛想だけど聞き上手な司書の小町さゆりさん。
普段は狭いレファレンスカウンターに大きな体を埋め込み、ちまちまと毛糸に針を刺して羊毛フェルトの小物を作っています。
相談者がきた時にはシュタタタタとキーボードをたたきその専門性を発揮。
「何をお探し?」という優しい声に、なせだか誰にも言えなかった本音を話してしまう相談者たち。
小町さんは相談者に必ず1冊は一風変わった本をすすめ、本の付録と称して羊毛フェルトで作った小物を渡します。
小町さんがそっと差し出す本や羊毛フェルト、何気ない言葉をきっかけに自分が本当に「探している物」に気づき一歩踏み出す5人の物語。
『お探し物は図書室まで』感想
ますます本が好きになってしまう物語でした。
この物語には様々な形で本に関わる人たちが登場します。
司書、本屋さんの店員、読者、編集者、デザイナーなどなど。
どの立場の人も本を取り巻く社会の中で欠かせない存在なんだなと感じました。
私ももっともっと本を読んで、楽しんでいこうと思いましたね。
本の装丁も凝っていました。
背表紙は、図書館のラベルが貼ってあるようなデザインになっています。

『お探し物は図書室まで』の装丁(背表紙)
本書を読んで、「司書」という存在の魅力も感じました。
司書の小町さんが提供するのは、本や羊毛フェルトや何気ない言葉。
そこから何か気づき、行動を変えて未来を変えていくのは相談者自身なんですが、人の未来を好転させるきっかけのそのまたきっかけのようなものを提供する司書さんって素敵ですね。
司書の小町さんを中心とした5人の短編集となっていますが、小町さん以外にも章を跨いで登場する人物がいたりして、繋がりがあるところも楽しめました。
読んだあとはじんわりと心が暖かくなるなるような物語でした。
本好きな方におすすめです。
ぜひ読んでみてください。
まとめ
本書に登場する司書の小町さんが大好きなお菓子、「呉宮堂のハニードーム」は本当にあるの?をあらすじや読書感想を含めてご紹介しました。
調べた限りでは呉宮堂のハ二ードームは実在はしないようですね。
もしモチーフになっているお菓子を見つけた!という人はコメントください。
私も知りたいです(^ ^)
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