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伊坂幸太郎『逆ソクラテス』あらすじ&読書感想ー先入観で評価してくる人たちに反旗をひるがえす小さきものたちの物語。

逆ソクラテス (集英社文芸単行本)

人気作家伊坂幸太郎さんの新刊、『逆ソクラテス』を読みました。

先入観で評価してくる「逆ソクラテス」な人たちに、勇気をもって反旗をひるがえす小さきものたちの物語。

本屋大賞候補作にもなっている話題作です。

本書のあらすじを含めた作品解説と読書感想をご紹介します。

 

 

 

『逆ソクラテス』作品情報

「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」の5つのストーリーを収めた短編集。

いずれのストーリーも子供の目線の内容で、本書のキャッチコピーは「敵は、先入観。世界をひっくり返せ!」

デビュー20周年をむかえた人気作家・伊坂幸太郎の意欲作となっています。

各話あらすじ

「逆ソクラテス」

小6のとあるクラス。

もの事を決めつけがちな担任の久留米は、草壁という生徒を大した子じゃないと決めつけ、見下した言動をとる。

安斎、佐久間、草壁、加賀は、久留米先生の先入観をひっくり返すため、ある作戦をたてる。

 

「スロウではない」

小5のとあるクラス。

体育祭前に転校してきた転入生の高城さん。

いつも一人ぼっちでいた村田さんと一緒にいるようになった。

いじわるな渋谷は、高城さんをなにかと標的にするようになる。

高城さんが転校してきた理由は、前の学校でいじめられていたからだと言いふらす渋谷。

みんなの予想に反して、運動会のリレーで高城さんはぶっちぎりの走りをみせる。

その後ますます高城さんをいじめる渋谷だったが、実は高城さんには秘密があって…。

 

「非オプティマス」

小5のとあるクラス。

青白く、若いのに元気がない久保先生は子どもたちから舐められている。

久保先生の授業中、ペンケースをわざと落として進行を妨害するナイト。

ある日の授業参観。

いつものようにナイトとその仲間たちのペンケース落としが始まった。

憑き物が落ちたようないつもと違う様子の久保先生が、静かに子どもたちに語りかけることとは。

 

「アンスポーツマンライク」

小学5年生、最後の試合で勝ち切ることができなかったバスケチームの5人。

チームの5人は高校生になった時、公園で包丁を持った男を取り押さえ、表彰される。

6年後、小学生にバスケを教えている剛央のところへみんなで見学にいくことに。

すると、6年間に捕まえた刃物男が拳銃をもって暴れ始めた。

小5の時の試合では勝ちきれなかったけれど、この勝負には勝たなければならない。

5人のチームワークで。絶対に。

 

「逆ワシントン」

トシヒコとケンスケは腹痛で学校を休んだ靖にプリントを届けるよう先生に頼まれ、家をたずねる。

靖の母と再婚して、数年前から靖の父となった男に挙動不審な様子で対応され、靖と会うことはできなかった。

その挙動不審な様子と、靖の体に痣があったことから、靖は父親から虐待されているのではないかと考えた2人。

ドローンで靖の家の中の様子を探ることを思いつく…。

 

公式PV

集英社より公開されている公式のプロモーションビデオです。


伊坂幸太郎『逆ソクラテス』プロモーションムービー

公式サイト

伊坂幸太郎「逆ソクラテス」好評発売中!【集英社公式サイト】

 
『逆ソクラテス』感想

どれも子どもたちを主人公にしたストーリーですが、子どもむけの本というわけではなく幅広い年代の人に響く内容でした。

子どもたちの世界は、大人の社会の縮図のようなもので大きくは変わりませんよね。

今作も伊坂幸太郎作品らしく、語り口調はクールですが、伊坂さんの熱い正義感がたっぷりつまった内容でした。

自らを「夢想家でありリアリスト」と語る伊坂幸太郎さんの作品を読むと、その言葉通り、ままならない社会を冷静に受け止めながら譲れないものを突き通す勇気を持とうと思えます。

 

まとめ

5つの短編集、共通のテーマは「先入観とどう向き合うか」でした。

世の中には根拠のない決めつけや先入観で、他人への評価や態度を変える人がいますよね。

けれど、ソクラテスが「無知の知」、いわゆる「わたしは知らないことを知っている」と言ったように、賢い人ほど先入観で決めつけたりはしないものです。

先入観で見下げるような言動をしてくる逆ソクラテスな人には、堂々とした態度ではっきりと言ってやりたいですね。

「僕は、そう思わない」と。 

 
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